| 頭で儲ける時代(2003/10月号) |
ビジネスの常識破り「スキ間」で儲ける! ネットショップ向けオリジナル段ボールを小ロットで販売ネットならではのすき間で急成長を遂げたのは、東京都中央区の(有)オーダーボックス・ドットコム。社長の四方祥樹氏(32歳)が着目したのは、段ボールだ。 ネットショップを経営していると商品発送用として、必ず段ボールが必要になる。これをホームセンターや大手の文房具店で購入しようとすると、意外と高価で、自分が送りたい商品のサイズにぴったり合う大きさだとは限らない。商品サイズに合わせて、自社ロゴや社名を印刷したオリジナル段ボールを業者にお願いしようとしても、たいていの場合、最小ロットで1000枚は注文しなければいけない。 そこで、オリジナル段ボールを、最小100枚単位からネットによって販売するというのが、四方氏が考え出したビジネス。ネットショップからの注文を見込んで開業したが、今や一般の企業や官公庁からの注文も殺到するビジネスに成長している。 四方氏は、もと大手衣料メーカーに勤務していた。「自分のアイデアひとつで食べていきたい」と2000年9月に、ネット広告の事業者として独立。いわゆるネットバブルの波に乗って順調に成長していた。そして事業をさらに拡大させるために、新たな分野に参入しようとした。そこで目につけたのが段ボールだ。 「ネット通販を始める人を何人か見てきたのですが、皆さん共通して、商品発送の際の段ボールに不便さを感じていました。だったらその不便なものを便利にすれば必ずビジネスになるはずだ。段ボールは必要な消耗品なので、必ずリピートが望めると思ったんです」と四方氏は話す。 調査してみると、段ボールという商品自体には、特殊な流通経路や販売網は存在しなかった。地域にいくつかの段ボール業者があって、近隣の企業から大量に注文を受けて作成し、納品するだけのものだった。そこで都内の段ボール業者を片っ端から回り、小ロットで特注してくれるという業者を数社確保し、2001年4月にインターネットに段ボールショップをオープンした。予想以上の反響で、開業から3ヶ月で注文件数は350件を超え、2年を経過した現在でも、毎日コンスタントに10〜15件の注文が入っている。 見積もりから発注まで即答できるシステムを構築 その特注段ボール、指輪が入れられる程度の小さなモノから、サーフボードや自転車が入る大きさまでサイズはさまざま。最大の特長は、同社のサイト上から欲しい段ボールのサイズと注文枚数、社名、ロゴなどの情報を入力すると即座に見積金額が表示され、そこで注文をクリックすれば、発注は完了という手軽さだ。それだけで、数日後には商品が手元に届く。「見積もりだけで、お客さんと何回もメールを出し合って、時間と手間をかけているようでは、飽きられます。そこで即座に答えられるようなシステムを作りました」と四方氏は話す。 四方氏がこのネットショップを始めたことで、従来の段ボール業者が小ロットの受注に踏み切るようになり、同じようなネットショップを開業する業者も現れるようになっている。その競争に勝っていくために心がけているのが、一度来たお客を逃がさないことだ。具体的には、サイトの内容を充実させ、定期的にアクセスしてもらえるように工夫している。 固定客確保のためメルマガでネットショップに必要な情報を配信 まず同社のサイトは、全体的に柔らかい印象で見た目に楽しい。段ボールの注文ページをはじめ、段ボールに関する基礎的な知識の他に、段ボール選び、印刷についてのアドバイスなどが掲載されている。また、ネットショップを開いている人に向けた読み物ページなども充実している。例えば「オンラインショップの信頼性を示す方法」や「ユーザーから見た宅配会社のイメージ」といった、ネットショップを経営する上で気になる情報を四方氏が独自の視点で解説し、メールマガジンで登録者に配信している。 さらに「注目のwebマスター」「EC-Winners」と題した連載コーナーがある。これは、現在人気のあるネットショップのオーナーに、経営方針や、成功の要因などを取材した記事で、2週間に一度のペースで新しい記事を配送する。こうしたサイト運営は、専門のデザイナー、イラストレーター、ライターとそれぞれ契約して進めており、メールマガジンの購読者は、現在のところ5000人を超えている。 「段ボールは基本的に安いもので、新商品が次々に出るというものでもありません。でるからお客さんにまた利用してもらうためには、こちらから何か働きかけていかなくてはなりません。サイト運営に力を入れて、メールマガジンを発行していくことは、『当社のことを忘れないでください』と訴えるための努力です」 お客の要望や相談には丁寧に答えるのも、大切なこと。お客と何度かメールで対話するようになると、「こんな商品ありませんか」「こういうものをつくってください」という声も届くようになる。これまでに、緩衝材が欲しいという要望が多かったのでエアクッションや発泡スチロールなどの販売も開始したが、これもまた、店舗を活性化する要因になっている。 新規参集の敷居が高いほど競合他社は現れにくい 「段ボールは、サラリーマン時代に扱った経験はありませんので、自分で専門業者に飛び込んで商品を確保しました。当然、飛び込みですから、最初はほとんどのところに断られて、話すら聞いてもらえませんでした。それだけ、敷居の高さを感じたわけですが、逆に考えれば、敷居が高いということは、あとから参入する人が少ないはずです。そういう発想を持つことも大切でしょう」と話す。 現在、売り上げは順調だが、また何か「不便だな」と思うものがあったら「便利に」することに挑戦したいという。 余談だが、「段ボールの注文を受けていると、今はこういう商品がネットで売れているんだというのがよくわかります」と話している。 |